ウェブサイトオーディエンス分析レポート

作成日: 2025年5月20日
作成部署: データ分析チーム
文書番号: WA-2025-05-01

1. はじめに

本レポートは、提供された複数ウェブサイトのオーディエンスデータに基づき、各サイトのユーザー特性や興味関心を分析することを目的としています。分析には、デモグラフィック情報、関連キーワード、ペルソナ、関心トピックのデータを使用し、特にユーザー数(user_count)セグメント構成比(segment_composition_ratio)、およびリフト値(lift)を主要指標として参照します。

全体平均の関心度 特定サイトの関心度 リフト値 = 特定サイトの関心度 ÷ 全体平均

リフト値は、特定のサイトのユーザーが特定の項目に関心を持つ度合いが、全体の平均と比較してどれだけ高いかを示す指標であり、オーディエンスの際立った特徴を把握する上で重要です。

例えば、リフト値が10.0の場合、そのサイトのユーザーは全体平均の10倍その項目に関心があることを意味します。リフト値が高いほど、そのオーディエンスにとって特徴的な要素と言えます。

本レポートでは、データ量が豊富で特徴的な傾向が見られる主要な参照元ホスト(referrer_host)に焦点を当てて分析を行います。

2. 主要参照元ホストの概要

提供データの中から、以下のホストがデータ量や特徴的な傾向から主要な分析対象として選定されました。

選定された主要ホスト

  • ad.doubleclick.net: 大量の広告配信データを含み、広範なユーザー層のデモグラフィックや興味関心を反映していると考えられます。
  • Facebook および dmp.intimatemerger.com: データプラットフォーム関連のホストと推測され、ビジネスユーザーや技術・マーケティング関心層の特徴が見られます。
  • adv.a8.net: アフィリエイト広告サービスに関連し、広告主やメディア運営者、副業に関心のある層の傾向が強いと予想されます。
  • chatgpt.com: AIチャットサービスであり、テクノロジーや情報収集に関心の高いユーザー層のデータが含まれます。

重要な注意点: a-rakumo.appspot.com や accounts.google.com のように、segment_composition_ratio が100%で lift が0.0と記録されているホストは、特定の固定されたオーディエンスセグメントのデータそのものである可能性があり、他のホストのデータとは性質が異なる点に留意が必要です。

広告 データ アフィリ AI オーディエンスの相対的な規模と特性

3. 主要ホスト別ユーザー分析

3.1. ad.doubleclick.net

広告配信ネットワークである ad.doubleclick.net のデータからは、広範なユーザー層の多様な興味関心が伺えます。

デモグラフィック

  • user_count が高い項目では、性別-女性(159)未既婚-既婚(137)子供有無-子供有り(123)性別-男性(120)などが上位を占めています。
  • リフト値は全体的に低いものの、0.001前後の値が多く見られます。これは、母集団が非常に大きいためと考えられます。
  • 年収帯では年収-3.400〜600万円未満(58)年収-4.600〜800万円未満(49)のユーザーが比較的多く見られます。
  • 職業では専業主婦(42)会社員(技術系)(35)のユーザーも一定数存在します。
  • 年齢層は幅広く分布しており、年齢-35歳〜39歳および年齢-40歳〜44歳(各32)がやや多くなっています。

興味・関心キーワード

キーワード リフト値
たばこと塩の博物館 32.21
mamagirl 31.87
社会見学 17.48
嗜好品 11.23
ママコーデ 10.12

リフト値が非常に高いキーワードが特徴的です。主に以下のテーマが見られます:

  • 特定の趣味やライフスタイル: 「たばこと塩の博物館」「社会見学」「嗜好品」
  • 子育て関連: 「mamagirl」「ママコーデ」
  • 情報収集・SNS: 「Twitterトレンド」「トゥギャッター」

※一部「コカイン」「覚せい剤」といったキーワードも散見されますが、これらは社会的なニュースや情報への関心、あるいは特定のコンテンツの文脈で出現した可能性が考えられます。

ペルソナ分析

リフト値が高いペルソナ:
  • シングルペアレント(Single Parents) - リフト値: 13.18
  • PCゲーマー(PC Gamers) - リフト値: 9.88
  • 睡眠障害者(Sleep Sufferers) - リフト値: 6.60
  • 求職者(Job Seekers) - リフト値: 6.00
ユーザー数が多いペルソナ:
  • おもちゃ購入者(Toys Shoppers) - 162, リフト値: 3.22
  • 結婚式・イベントプランナー(Wedding / Special Events Planners) - 98, リフト値: 3.03

ライフイベントや趣味消費に関わる層が多いことがわかります。

トピック分析

リフト値が高いトピック: 不動産開発 (Property Development) - リフト値: 16.87

user_count が多いトピックは、ショッピング (Shopping) (43, リフト値: 2.15)、旅行・交通 (Travel & Transportation) (23, リフト値: 2.52)、コンピューター・ビデオゲーム (Computer & Video Games) (19, リフト値: 2.00)など、一般的な消費行動やレジャーに関連するトピックが上位を占めています。

3.2. Facebook

データプラットフォーム関連と推測される Facebook のデータは、ビジネスや技術に関心の高いオーディエンス像を示しています。

デモグラフィック

  • 性別-男性 (261, リフト値: 0.0005) が女性 (183, リフト値: 0.0004) よりも多くなっています。
  • 職業では 会社員(事務系) (201, リフト値: 0.0018)、会社員(技術系) (115, リフト値: 0.0014) が上位であり、ビジネスパーソンが多いことが伺えます。
  • 年収帯では 年収-4.600〜800万円未満 (143, リフト値: 0.0011) が最も多く、次いで 年収-5.800〜1000万円未満 (64, リフト値: 0.0006) となっています。
  • 基本オーディエンスカテゴリ-インターネット (リフト値: 0.0036)、基本オーディエンスカテゴリ-PC・家電 (リフト値: 0.0015) への関心が高いです。

興味・関心キーワード

キーワード リフト値
PostCookie 3337.98
RampID 757.99
メディアマネタイズ 748.61
Hakuhodo DY ONE 705.02
データドリブン 81.30
パーソナライゼーション 55.64

リフト値が極めて高いキーワードが多く、専門性の高さが際立っています:

アドテク マーケティング技術 データ分析 AdOps プログラマティック CMP

特にアドテク業界の専門用語が多く、デジタルマーケティング分野の専門家・実務者が多いと考えられます。

ペルソナ分析

リフト値が高いペルソナ:
  • eラーニング利用者(E Learners) - リフト値: 81.10
  • ウェアラブル機器愛好家(Wearable Enthusiasts) - リフト値: 57.92
  • サイバーセキュリティ探求者(Cyber Security Seekers) - リフト値: 39.20
  • 中堅企業従業員(Medium Company Members) - リフト値: 38.56
  • 小規模ビジネスオーナー(Small Business Owners) - 107, リフト値: 23.62
ユーザー数が多いペルソナ:
  • 管理職(Managers) - 318, リフト値: 16.26
  • IT意思決定者(IT Decision Makers) - 273, リフト値: 14.16

技術やビジネス決定に関連するペルソナが中心で、ビジネスの成長や効率化に関心のある層と推測されます。

トピック分析

リフト値が高いトピックも、ビジネスやテクノロジー関連が中心です。

  • フィットネス (Fitness) - リフト値: 293.29(特異的に高い値ですが、これはデータ収集方法や特定のキャンペーンに関連している可能性があります)
  • ビジネスサービス (Business Services) - リフト値: 73.68
  • ビジネス・生産性ソフトウェア (Business & Productivity Software) - リフト値: 65.34
  • ソフトウェア (Software) - リフト値: 64.17

3.3. adv.a8.net

アフィリエイトサービス adv.a8.net では、広告運用やウェブサイト運営、キャリアに関心のある層が中心となっているようです。

デモグラフィック

  • 性別-女性 (15, リフト値: 0.0) が男性 (5, リフト値: 0.0) より多く、アフィリエイト活動を行うユーザー層の特性を反映している可能性があります。(※liftが0と表示されていますが、実質的な差はあると考えられます)
  • 年齢-60歳以上 (7, リフト値: 0.0001) や 年齢-40歳〜44歳 (5, リフト値: 0.0) が比較的多く見られます。
  • 基本オーディエンスカテゴリ-インターネット (4, リフト値: 0.0002) への関心が高いです。

興味・関心キーワード

キーワード リフト値
マーケティング 7.23
広告 7.10
ツール 4.47
資料 4.07
講座 3.94
学習 3.85
就職 3.78

ウェブサイト運営やコンテンツ作成に関連する「Web」「制作」「メディア」「ブログ」といったキーワードも見られます。

ペルソナ分析

リフト値が高いペルソナ:
  • 求職者(Job Seekers) - リフト値: 40.44
  • 管理職(Managers) - リフト値: 22.69
  • 高級アクセサリー愛好家(Luxury Accessories Enthusiasts) - リフト値: 17.06
  • IT意思決定者(IT Decision Makers) - リフト値: 15.95
  • 美容愛好家(Beauty Lovers) - リフト値: 15.42
副業希望者 ビジネスオーナー マーケター ニッチ商品愛好家

これらのペルソナは、アフィリエイト活動を通じて収入を得たい層や、ビジネス・キャリアに関心のある層、特定のジャンルの商品に関心の高い層を示唆しています。

トピック分析

リフト値が高いトピック:

  • フィットネス (Fitness) - リフト値: 787.71(極めて高いですが、これも特定のキャンペーンやデータ収集バイアスの可能性があります)
  • 趣味・レジャー (Hobbies & Leisure) - リフト値: 73.10
  • 人・社会 (People & Society) - リフト値: 68.11
  • コンピューター・電子機器 (Computers & Electronics) - リフト値: 45.04

アフィリエイトで扱われることの多いジャンルが上位に来ています。

3.4. dmp.intimatemerger.com

Facebook と同様にデータプラットフォーム関連と見られ、類似した傾向を持ちつつ、やや異なる側面も見られます。

デモグラフィック

  • 性別-男性 (73, リフト値: 0.0001) が女性 (31, リフト値: 0.0001) より多くなっています。
  • 職業では 会社員(事務系) (40, リフト値: 0.0004)、会社員(技術系) (31, リフト値: 0.0004) が上位です。
  • 年収帯は 年収-4.600〜800万円未満 (33, リフト値: 0.0002) が最も多いです。
  • 基本オーディエンスカテゴリ-インターネット (リフト値: 0.0011) への関心が高いです。

興味・関心キーワード

キーワード リフト値
Juicer 203.25
パーソナライゼーション 173.29
Audience 139.38
データドリブン 136.36
アナリティクス 94.95
ディスプレイ広告 89.32
リスティング広告 44.37

Facebook と同様に専門的なキーワードのリフト値が高いですが、より具体的なマーケティングツールや手法に関するものが見られます。

ペルソナ分析

リフト値が高いペルソナ:

  • ウェアラブル機器愛好家(Wearable Enthusiasts) - リフト値: 101.48
  • 中堅企業従業員(Medium Company Members) - リフト値: 84.07
  • 小規模ビジネスオーナー(Small Business Owners) - リフト値: 28.88

Facebook と共通するペルソナも見られ、ビジネス・技術志向のオーディエンスであることが確認できます。

トピック分析

リフト値が高いトピック:

  • フィットネス (Fitness) - リフト値: 179.62(やはり特異的に高いです)
  • ビジネス・生産性ソフトウェア (Business & Productivity Software) - リフト値: 112.46
  • ソフトウェア (Software) - リフト値: 87.44
  • クレジットカード (Credit Cards) - リフト値: 77.70

3.5. chatgpt.com

AIチャットサービスである chatgpt.com のデータは、まだサンプル数が少ないものの、ITやビジネスに関心のある層の利用を示唆しています。

デモグラフィック

user_count が少ないため断定は難しいですが、以下の特徴が見られます:

  • 性別-男性 (2)
  • 職業-会社員(事務系) (2)
  • 基本オーディエンスカテゴリ-インターネット (3)

年齢層は「年齢-40歳〜44歳」「年齢-45歳〜49歳」「年齢-50歳〜54歳」「年齢-25歳〜29歳」が各1ユーザーとなっています。

興味・関心キーワード

リフト値が高いキーワード:

  • 株式会社 - リフト値: 3.20
  • 実現 - リフト値: 2.09

これらのキーワードは、ビジネス用途での利用や情報収集を示唆している可能性があります。

ペルソナ分析

リフト値が高いペルソナ:

  • IT意思決定者(IT Decision Makers) - リフト値: 25.10

データ量は少ないものの、明確にIT関連のビジネスパーソンにリーチしている様子が伺えます。

4. サイト横断的な傾向と考察

オーディエンスの特性

  • ad.doubleclick.net は広範な一般消費者層をカバーしつつ、特定趣味・ライフスタイル層(子育て、博物館など)にもリーチしている広告ネットワークの特性を示しています。
  • Facebook, dmp.intimatemerger.com, chatgpt.com は、共通してIT、ビジネス、マーケティングに関心を持つ専門性の高いオーディエンスが多い傾向があります。特にキーワードの専門性は非常に高いです。
  • adv.a8.net は、アフィリエイトという特性上、副収入やウェブサイト運営、マーケティング手法に関心のある層(求職者、個人事業主傾向)を引きつけていると考えられます。
一般消費者層 (doubleclick) ビジネス・IT層 (intimatemerger) 副業層 (a8.net) AI活用層 (chatgpt)

キーワードの傾向

  • 全体的に、アドテク関連のホスト(Facebook, dmp.intimatemerger.com)では、業界特有の専門用語のリフト値が極めて高いのが特徴です。これは、これらのサイトが特定の専門家コミュニティや業界関係者にとって重要な情報源であることを示唆しています。
  • 一般的な広告ネットワーク(ad.doubleclick.net)では、より広範な消費者の興味を反映したキーワードが見られます。

ペルソナの共通性と特異性

共通的ペルソナ:

  • 「IT意思決定者」「管理職」といったペルソナは、ビジネス系ホスト(Facebook, adv.a8.net, chatgpt.com)で共通してリフト値が高い傾向にあります。

特異的ペルソナ:

  • 「シングルペアレント」(ad.doubleclick.net)や「求職者」(adv.a8.netで特に高い)のように、ホストごとに特異的にリフト値が高いペルソナも存在し、各サイトのオーディエンスの独自性を示しています。
共通ペルソナと各ホスト特有のペルソナ
ホスト 独自性の高いペルソナ
ad.doubleclick.net シングルペアレント、おもちゃ購入者
Facebook eラーニング利用者、サイバーセキュリティ探求者
adv.a8.net 求職者、高級アクセサリー愛好家、美容愛好家
dmp.intimatemerger.com ウェアラブル機器愛好家

リフト値の解釈

  • リフト値が著しく高い項目は、そのホストのオーディエンスを定義づける上で非常に重要な手がかりとなります。これらのオーディエンスは、特定の情報やサービスに対して強い親和性を持つ可能性があります。
  • a-rakumo.appspot.com など、liftが0のサイト群は、特定のオーディエンスデータそのものであるため、他のサイトとの比較においてリフト値を用いるのは適切ではありません。これらのデータは、特定のセグメントのプロファイルとして理解する必要があります。

5. まとめと今後の分析への示唆

本分析により、提供されたデータに含まれる主要な参照元ホストのオーディエンス特性の一端が明らかになりました。特に、ad.doubleclick.net が示す広範な消費者インサイト、Facebook や dmp.intimatemerger.com が持つ専門性の高いBtoBオーディエンス、adv.a8.net のアフィリエイト関連オーディエンスなど、各ホストの持つ特性が確認できました。

今後の分析に向けて

  • 「このサイト」の特定: もし特定のサイトを分析対象とするならば、そのサイトの referrer_host 名を明確にすることで、より焦点を絞った詳細なレポート作成が可能です。
  • 時系列分析: もし時系列データが存在する場合、オーディエンス特性の変化やトレンドを把握することができます。
  • コンバージョンデータとの連携: 各オーディエンスセグメントが、実際のウェブサイト上の行動(購入、登録など)にどのように結びついているかを分析することで、より実践的な示唆が得られます。
  • user_count の定義の確認: user_count の正確な定義(ユニークユーザー数なのか、インプレッション数なのか等)をホストごとに確認することで、分析の精度を高めることができます。
特定サイトの参照元データ収集 時系列データの蓄積・分析 コンバージョンデータとの連携

本レポートが、今後のウェブサイト戦略やマーケティング施策の策定に役立つ情報となれば幸いです。