レース概要と歴史的背景
ヴィクトリアマイルとは
ヴィクトリアマイルは、4歳以上の牝馬限定で行われる春の古馬女王決定戦であり、東京競馬場の芝1600メートルを舞台に開催されます。「ヴィクトリア(Victoria)」はローマ神話に登場する「勝利の女神」を意味しています。
歴代の優勝馬にはウオッカ、ブエナビスタ、アーモンドアイ、グランアレグリアといった、その時代を代表する名牝たちが名を連ねています。
2025年開催情報
📅 2025年5月18日(日) 第11競走
🏇 東京競馬場 芝1600m(左回り)
⏰ 発走予定時刻 15:40
👑 出走条件:サラブレッド系4歳以上牝馬(国際)(指定)
⚖️ 負担重量:定量56kg
💰 1着賞金:1億3,000万円
📺 中継:フジテレビ系列『みんなのKEIBA』、BSフジ『BSスーパーKEIBA』、グリーンチャンネル
東京芝1600mコース徹底解剖!
コース形状と求められる能力
東京芝1600mコースは、以下の特徴を持つ非常にタフなコースです:
- スタート地点は2コーナー奥のポケット
- 最初の3コーナーまでの直線距離が約542m(Aコース時)と長い
- 向正面から3コーナー手前にかけて高低差1.5mの緩やかな上り坂
- 最後の直線は525.9mと長く、中盤に高低差2.1mの上り坂
このコースでは、マイラーとしての総合力が求められます:
- ゲートセンスと二の脚の速さ
- 道中の追走力とスタミナ
- 直線での爆発的な切れ味(瞬発力)
- 末脚を維持する持続力
1800m戦でも好走できるスタミナの裏付けがある馬や、効率的な走りでスタミナロスを最小限に抑えられる馬が有利
枠順・脚質の有利不利
枠順傾向:
- 過去10年で3枠が5勝と最多勝
- 2枠も2勝と好成績
- 2~5枠の複勝率が高い
- 大外枠(特に7枠や8枠)も複勝率が高い
脚質傾向:
- 基本的には瞬発力に優れた差し馬に有利
- 逃げ・先行馬が完全に不利というわけではない
- 4コーナーを9番手以内で通過した馬が過去10年で8勝
- 極端な追い込みは展開の助けが必要
中団でしっかりと脚を溜め、直線で持続力のある末脚を繰り出せるタイプの馬が理想的
注目騎手
C.ルメール騎手
ヴィクトリアマイルでアーモンドアイ(2020年)、グランアレグリア(2021年)、アドマイヤリード(2017年)を勝利に導くなど、圧倒的な実績
D.レーン騎手
短期免許での騎乗が主だが、東京コースでの勝率は非常に高く、ノームコア(2019年)で勝利
戸崎圭太騎手
複勝率が高く、ヴィクトリアマイルではストレイトガールで2015年、2016年と連覇達成
過去10年の傾向から探る!勝利の法則
人気別成績:波乱は起こるか?
過去10年で2番人気・3番人気は勝ち星なし!
4~6番人気の範囲で【5-3-3-19】と非常に好成績
2024年には14番人気のテンハッピーローズが単勝208.6倍で勝利する大波乱も
年齢別成績:ベテランか、新星か?
年齢 | 成績 | 勝ち馬例 |
---|---|---|
4歳馬 | 【3-5-4-60】 | ソダシ(2022)、ノームコア(2019) |
5歳馬 | 【4-3-5-56】 | ソングライン(2023)、グランアレグリア(2021) |
6歳馬 | 【2-2-1-23】 | テンハッピーローズ(2024) |
7歳以上 | 【1-0-0-23】 | ストレイトガール(2016/7歳) |
重要なのは年齢そのものよりも、現在の状態とコース適性を見極めること
ローテーション分析:最重要ステップレースは?
阪神牝馬S組【4-3-5-57】
最多の出走数・好走数を誇る最重要ステップレース
ただし前走6着以下に敗れていた馬が【6-1-2-64】と巻き返し傾向も
中山牝馬S組【1-2-0-10】
2019年にはノームコアがこのローテーションで勝利
前走1着馬は【0-3-1-33】と過去10年で未勝利
年 | 勝ち馬 | 前走レース | 前走着順 | 間隔 |
---|---|---|---|---|
2024 | テンハッピーローズ | 阪神牝馬S | 6着 | 6週 |
2023 | ソングライン | 1351ターフスプリント | 10着 | 約11週 |
2022 | ソダシ | フェブラリーS | 3着 | 12週 |
2021 | グランアレグリア | 大阪杯 | 4着 | 6週 |
2020 | アーモンドアイ | 有馬記念 | 9着 | 約21週 |
枠番別成績:有利なゲートはどこだ?
3枠が過去10年で5勝と圧倒的
8枠は【0-3-2-23】と2着3回・3着2回も
脚質別成績:逃げ切りか、豪脚一閃か?
過去10年の勝ち馬の4コーナー通過順位:
- 2024年 テンハッピーローズ: 4角8番手
- 2023年 ソングライン: 4角7番手
- 2022年 ソダシ: 4角2番手
- 2021年 グランアレグリア: 4角10番手
- 2020年 アーモンドアイ: 4角3番手
上がり3ハロン33秒台前半~32秒台の鋭い末脚が必要
中団から前での競馬がしやすく、極端な追い込みは不利
血統分析:ヴィクトリアマイルを制する血の力
注目種牡馬
ディープインパクト系グランアレグリア(2021)、アーモンドアイ(2020/2着)など
キズナもソングライン(2022/2023)、ファインルージュ(2022/2着)を輩出
キングカメハメハ系ロードカナロア産駒のアーモンドアイ(2020)
エピファネイア産駒のテンハッピーローズ(2024)や現役のステレンボッシュなど
欧州血統の注目度Nureyev、Sadler's Wells、Fairy Kingの血を持つ馬
母父の組み合わせ
重要母父:
- Danehill Dancer(アスコリピチェーノの母父)
- ディープインパクト(アルジーヌの母父)
- キングカメハメハ(シンリョクカの母父)
- シンボリクリスエス(ソーダズリングの母父)
- ルーラーシップ(ステレンボッシュの母父)
母父ディープインパクトに父モーリスや父ロードカナロアを配合した馬の成績が優秀
血統要素 | 種牡馬名/母父馬名 | 勝利数 | 2・3着数 | 主な活躍馬 |
---|---|---|---|---|
父 | ディープインパクト | 2 | 4 | グランアレグリア(21)など |
父 | キズナ | 2 | 1 | ソングライン(23,22)など |
父 | ロードカナロア | 1 | 1 | アーモンドアイ(20)など |
父 | エピファネイア | 1 | 0 | テンハッピーローズ(24) |
母父 | シンボリクリスエス | 2 | 0 | ソングライン(23,22) |
出走予定馬紹介と追い切り情報
アスコリピチェーノ 1番人気
戦績:前走キングアブドゥルアジーズ1351ターフS(GII)1着。鉄砲実績【3.1.0.0】と休み明けは得意。東京コースもNHKマイルC2着と実績あり。
追い切り:最終追い切りは美浦ウッドでルメール騎手を背に併せ馬。全体時計79.1秒、ラスト1ハロン11.2秒と非常に優秀な時計をマーク。追われるごとに鋭く反応し、仕上がりは万全と見られる。
ステレンボッシュ 2番人気
戦績:前走大阪杯(GI)13着と大敗したが、桜花賞馬であり能力はGⅠ級。巻き返しなるか。
追い切り:最終追い切りは美浦ウッドで戸崎騎手が騎乗。7ハロン99.3秒、ラスト11.3秒と全体時計は目立つものではないが、前走時より全身の使い方が良化し、前向きさが出てきた。調教後馬体重は前走から11kg増の471kg。
ボンドガール 3番人気
戦績:前走阪神牝馬S(GII)5着。素質は高いが気性面が鍵。
追い切り:最終追い切りは美浦坂路で単走。4ハロン53.7秒、ラスト12.7秒。控えめな調整ながら、直線での手前替えもスムーズで、ひと頃の硬さが改善され状態の良さがうかがえる。
クイーンズウォーク 4番人気
戦績:前走金鯱賞(GII)を牡馬相手に勝利。マイルへの距離短縮がポイント。
追い切り:最終追い切りは栗東CWコースで川田騎手を背に単走馬なり。4ハロン55秒0、ラスト11秒9と雄大なフットワークを披露。中内田師は「いい内容。状態維持を意識」とコメント。
注目の伏兵馬:
クリスマスパレード 前走中山牝馬S(GIII)3着。最終追い切りでは理想的な動きを披露し、A+評価も。
ビヨンドザヴァレー 前走阪神牝馬S(GII)4着。木曜追い切りで自己ベストタイム。橋口師は「馬はめっちゃいい感じ」と絶賛。
ヴィクトリアマイル2025 予想オッズ
人気 | 馬名 | 予想オッズ |
---|---|---|
1 | アスコリピチェーノ | 3.5倍 |
2 | ステレンボッシュ | 6.9倍 |
3 | ボンドガール | 7.1倍 |
4 | クイーンズウォーク | 8.4倍 |
5 | アルジーヌ | 9.6倍 |
6 | シランケド | 11.1倍 |
7 | アドマイヤマツリ | 12.2倍 |
8 | サフィラ | 20.5倍 |
9 | ビヨンドザヴァレー | 26.1倍 |
10 | ソーダズリング | 30.1倍 |
※オッズは変動します。最新情報は公式サイトでご確認ください。
過去10年のヴィクトリアマイルは中位人気や人気薄の馬の激走が多く、波乱含みのレースです。1番人気の信頼度は一定程度あるものの、2・3番人気が勝ちきれず、中位人気馬が好走するパターンが目立ちます。
まとめと最終予想のヒント
勝利の法則
- コース適性:東京芝1600mは長い直線と上り坂が特徴。瞬発力だけでなく、スタミナと持続力も備えた総合力の高いマイラーが有利
- 人気傾向:1番人気は比較的堅実も、2・3番人気は不振。中位人気や人気薄の台頭に注目
- ローテーション:阪神牝馬S組が中心だが、前走1着馬は苦戦。前走敗退組の巻き返しに注意
- 枠順:3枠が最多勝。内~中枠がやや優勢も絶対ではない
- 脚質:4角ある程度の位置につけ、上がり33秒台前半~32秒台の末脚を使える馬が理想
- 血統:ディープインパクト系、キングカメハメハ系が強い。欧州血統も要チェック
ヴィクトリアマイルは毎年波乱が起きやすいレースです。本命馬だけでなく、穴馬も積極的に狙う馬券が功を奏するかもしれません。
これまでの分析を踏まえ、1番人気のアスコリピチェーノの素質と状態を評価しつつも、中位人気のクリスマスパレードやビヨンドザヴァレーなど、追い切り上昇馬にも注目しましょう。