一番搾りブランド マーケティング状況分析と今後のご提案

2024年6月度レポート
作成日: 2024年7月10日
マーケティング調査部

1. エグゼクティブサマリー

市場環境

ビール類市場全体(1-6月累計)
103%
前年比・伸長
ビール類市場全体(6月単月)
100%
前年比・横ばい
ビール類市場トレンド(前年比) 1月 2月 3月 4月 5月 6月

一番搾りの状況

1-6月累計売上
102%
目標比・年間達成ペース
6月単月売上
99%
目標比・未達
シェア推移
13.7% → 13.5%
前月比微減・要注意
6月の販売金額は過去5年間で最も低い水準

競合状況

スーパードライシェア
21.7% → 22.9%
前月比増加
ブランド別シェア(6月) 22.9% スーパードライ 13.5% 一番搾り 63.6% その他

主な要因

購入者(奥行き)
103%
前年比・ロイヤリティ維持
購入者(間口)
100%
前年比・新規獲得停滞
若年層・ライト層での不調が顕著
山積み率(6月)
24.5%
前年同月37.5%から大幅低下
TVCM出稿なし:競合(スーパードライ、アサヒ生ビール、プレミアムモルツ)は出稿あり
外部環境
物価上昇により飲料への節約意識が高まっている可能性

ご提案

短期施策

  • 店頭露出の強化(特にSM)
  • 若年層・ライト層向け販促施策

中期施策

  • TVCMを含むコミュニケーション戦略の見直し
  • EC・DRUGチャネルへのアプローチ強化

2. 現状の理解

a. 市場環境(ビール類カテゴリー)

市場規模トレンド
103%
2024年1-6月累計(前年同期比)
100%
2024年6月単月(前年同月比)
市場規模推移(前年同月比) 100% 1月 2月 3月 4月 5月 6月 105% 106% 103% 104% 102% 100%

b. KGI(一番搾り 販売金額)の評価

目標達成状況

累計(1-6月)
102%
目標比・達成ペース
当月(6月)
99%
目標比・未達

前年同月比

6月
98%
2ヶ月連続前年割れ
6月の販売金額は過去5年間で最も低い水準
一番搾り 販売金額推移(前年同月比) 100% 1月 2月 3月 4月 5月 6月 104% 108% 106% 105% 99% 98% 過去5年平均
シェア比較
一番搾りは13.7% → 13.5%と微減
スーパードライは21.7% → 22.9%と増加

c. KPIから見た現状評価

間口・奥行き

累計購入率(間口)
28.9%
前年同期28.8%とほぼ横ばい
購入者あたり購入金額(奥行き)
103%
前年同期比
新規・ライト層の獲得が課題

店頭関連

山積み率推移 37.5% 前年同月 30.3% 前月 24.5% 当月
店頭での存在感低下が懸念

その他指標

販売店率
99.7%
SM・CVSは変化なし
DRUG販売店率
74.2%
前月77.6%から微減
平均販売単価
190円
前年189円と大きな変動なし
広告(TVCM)
0 GRP
6月は出稿なし
累計出稿量(1-6月)
2,300 GRP
前年同期3,000 GRPより削減

3. 好不調原因の探索・特定

a. 際立って好調/不調なセグメント

アイテム・チャネル

1缶購入
97.0%
前年同月比・ややダウン
チャネル 前年同月比 評価
SM 98.5% 不調
DRUG 103.5% 好調
EC 110.0% 好調

顧客セグメント

セグメント 前年同月比 評価
20代など若年層 96.0% 不調
カテゴリーライト層 95.5% 不調
高年齢層 102.5% 堅調
ヘビー層 104.0% 堅調
分析: 若年層・ライト層といった定期購買習慣のない層がSMでの購入を控え、DRUG/ECへシフト、あるいは購入自体を見送った可能性が示唆されます。1缶購入のダウンもこれを裏付けている可能性があります。

b. 好調/不調の理由

自社ブランド要因

ブランドイメージ
リニューアル等なく、大きな変化なし
口コミ
「父の日のプレゼント」「LINEくじ当選」などポジティブな声あり
プロモーション
TVCM出稿なし
山積み率低下(24.5%)
店頭での想起率低下、特にライト層へのリーチ減少

競合ブランド要因

ブランド TVCM出稿 備考
スーパードライ 1,200 GRP シェア拡大
アサヒ生ビール 500 GRP コンビニクーポン施策
プレミアムモルツ 400 GRP -
競合のプロモーション活動が活発な中、相対的に一番搾りのアピールが弱まった可能性

外部要因

気温
高めだったが、飲料市場全体は前年比微減
物価
食品(特に米など必需品)の値上がりが続く
食品市場: 前年比104%
チャネル環境
DRUGストア: 前年同月比109.1%で好調
消費者の節約志向が働き、ビール類の中でもよりお得感のあるブランドが選択された可能性

4. 課題の特定

一番搾り - 主要課題マップ 一番搾り 現状課題 売上・シェア 前年割れと シェア低下 間口拡大 若年層・ライト層 獲得停滞 店頭プレゼンス 山積み率低下 (24.5%) アピール不足 TVCM不在と 競合の活発化 物価高対応 節約志向への対応
  1. 売上・シェアの低下

    直近の売上不振(前年割れ)とシェア低下トレンドに歯止めをかける必要がある。

  2. 間口拡大の停滞

    新規顧客、特に若年層やライト層の獲得が進んでいない。

  3. 店頭プレゼンスの低下

    山積み率の低下により、店頭での非計画購買の機会を損失している可能性がある。

  4. 相対的なアピール不足

    競合がプロモーションを活発化させる中、TVCM不在等によりブランド想起や購買意欲喚起が弱まっている。

  5. 物価高への対応

    節約志向の中で、一番搾りを選ぶ理由・価値を改めて提示する必要がある。

5. マーケティング提案

【短期施策(即時~3ヶ月)】

1. 店頭プレゼンスの回復・強化

SM 山積み展開スペース確保・拡大 DRUG 配荷維持・拡大、週末特売
  • SMチャネルへの集中: 主要SM法人との商談を通じ、山積み展開スペースの確保・拡大を交渉。視認性の高いPOP設置やクロスMD(おつまみ等との)提案を強化。
  • DRUGチャネルでの販促: 好調なDRUGチャネルでの配荷維持・拡大とともに、週末特売やポイント付与キャンペーンなどを実施。

2. 間口(若年層・ライト層)拡大施策

  • トライアル促進: SNSでの話題化を狙ったキャンペーン(例:#一番搾りと過ごす夏)、コンビニ限定デザイン缶の投入、デジタルクーポン配布によるトライアル喚起。
  • 飲用機会の創出: 「父の日」のようなギフト需要喚起や、夏場のイベント・BBQシーン等に合わせた提案。

3. お得感の演出

  • 複数パック訴求: 6缶パックやケース購入での割引、景品付きパックなどのプロモーション強化。
  • EC限定キャンペーン: ECチャネルでのポイント増量や限定セット販売。

【中期施策(3ヶ月~1年)】

1. コミュニケーション戦略の見直し

TVCM デジタル 一番搾り ブランド価値訴求 消費者
  • 広告投資の検討: TVCM出稿の再開を検討。難しい場合は、若年層へのリーチ効率が高いデジタル広告(動画広告、SNS広告)へ予算をシフト/増額。
  • ブランド価値訴求: 一番搾りならではの品質、製法へのこだわり、美味しさを改めて伝えるコミュニケーションを展開(Webサイト、SNS、店頭ツール等)。

2. チャネル戦略の最適化

  • ECチャネル強化: 定期購入プログラムの導入検討、EC限定フレーバーやギフト商品の開発。
  • DRUGチャネル深耕: DRUGチャネル専売の小型パックや健康軸での訴求(例:糖質オフ製品との連動)などを検討。

3. 顧客理解の深化

若年層 ライト層 意識調査 施策 精度向上

若年層・ライト層のビールに対する意識、購入動機、メディア接触状況などを把握するための調査を実施し、今後の施策精度向上に繋げる。