作成日:2025年4月3日
バージョン:1.0
指示語(シジゴ)とは、文章中で特定の事物・場所・方向などを指し示す言葉です。日本語では「コソアド言葉」とも呼ばれ、会話や文章の中で重要な役割を担っています。
論説文や説明文といった説明的文章においては、指示語の内容理解が文章全体の把握に直結します。指示語が何を指しているのかを正確に理解できなければ、文章全体の意味を正確に捉えることができません。
指示語は、同じ表現を繰り返さないようにするために存在します。指示語がない世界では、すべての対象を毎回具体的に指定しなければならず、コミュニケーションが非常に不便になります。
指示語を使わない場合、同じ内容を伝えるためには、対象を毎回具体的に説明しなければなりません。これにより文章が冗長になり、読みにくくなります。
指示語は便利な反面、何を指しているかが明確でない場合には、コミュニケーション上の問題を引き起こします。特に文章においては、指示語が指す対象が明確でないと読み手が混乱する原因となります。
ルール | 内容 | 重要ポイント |
---|---|---|
ルール1 | 文章や記述回答に指示語は使わない | 「このこと」という表現は避け、具体的に書く |
ルール2 | 指示語の内容記述は、指示している内容だけでなく文末の形に気をつけてまとめる | 「ここ」→「場所」、「あちら」→「方」など |
ルール3 | 指示語の内容を記述したら、元の文の指示部分に回答を代入して確かめ算をする | 意味が通じれば正解 |
ルール4 | 説明文の傍線部に指示語が含まれていたら、必ず指示内容を確定してから問題を解く | 国語の解き方の基本手順 |
ルール5 | 「このように」など広範囲を指示する指示語の場合、範囲を確定させてから情報を引いたりまとめたりする | 広範囲の内容を正確に把握する |
指示語が何を指しているかを確認する「確かめ算」は、国語の問題を解く上で貴重な検証手段です。
元の文: 「遠くにお寺が見える。女は太郎に『あちらに行ったら戻って来られなくなるよ』と言った。」
指示語の内容: 「あちら」→「遠くにお寺が見える方」
確かめ算: 「遠くにお寺が見える。女は太郎に『遠くにお寺が見える方に行ったら戻って来られなくなるよ』と言った。」
→ 意味が通じるので正解
指示語を見つける
前後の文脈から指示対象を特定
文末の形に注意して内容をまとめる
確かめ算で検証
「イギリス人にとって家の持つ個性や歴史は自分の内面とリンクするとても重要な要素なのだ。このポイントを無視して物件を決めるなどありえない。」
下線部の「この」は何を指しているか答えなさい。
正解: 「家の持つ個性や歴史」
確かめ算: 「イギリス人にとって家の持つ個性や歴史は自分の内面とリンクするとても重要な要素なのだ。家の持つ個性や歴史を無視して物件を決めるなどありえない。」
「イギリスでは家は持った時から始まり、家を持つことは継続して関わり続けること、オンゴーイングプロジェクトと言われている。これは、家を持ったら最後全てがそこで集結しなければならない日本人の考えとは対立する。」
下線部の「これ」は何を指しているか30文字前後で答えなさい。
正解: 「家を持つことは継続して関わり続けることというイギリスの考え」
指示語が指す対象が複合的な場合、その全体を含めて答える必要があります。
指示語問題は一見簡単に見えても、正確に答えるには文脈の理解と論理的思考が必要です。以下のポイントに注意しましょう:
指示語は文章理解の基礎となる重要な要素です。文章が難しく感じられる原因の一つに、指示語が何を指しているか分からないという問題があります。指示語の使い方と理解を練習することで、読解力全体が向上します。
論説文では、筆者が自分の主張を展開する過程で指示語を効果的に使用します。指示語の理解は文章全体の論理構造を把握するために不可欠です。
論説文では、指示語が指し示す内容を正確に把握することで、筆者の論理展開や主張を理解することができます。特に「このように」「これらの理由から」といった広範囲を指す指示語は、前段までの内容全体を指していることが多く、文章の要点をつかむ手がかりとなります。