関東地方の地理・特性・産業
作成日: 2025年4月14日
作成: 地理情報部

本資料は関東地方の地理的特徴、気候、人口動態、産業構造などの基本情報をまとめたものです。各都道府県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県)の特徴に焦点を当て、地域別の比較分析も含んでいます。

関東地方の主な地形

山脈・山

関東山地 足尾山地 筑波山 浅間山(活火山) 日光白根山 山地 活火山
  • 関東山地:群馬県から埼玉県にかけて広がる
  • 足尾山地:栃木県北西部に位置する
  • 浅間山:活火山として知られる
  • 筑波山:茨城県のシンボル的な山
  • 日光白根山:栃木県の活火山

主な河川

関東平野 利根川 荒川 多摩川 相模川 渡良瀬川 東京湾 長い河川 中規模河川
  • 利根川:日本で2番目に長く、最大の流域面積を持つ。群馬県から千葉県へと流れる
  • 荒川:埼玉県から東京都へと流れる
  • 多摩川:山梨県から東京都へと流れる
  • 相模川:神奈川県を流れる主要河川
  • 渡良瀬川:群馬県と栃木県にまたがる河川。かつて足尾銅山の鉱毒問題があった

半島

房総半島 三浦半島 関東地方の主な半島 房総半島:「上総・下総・安房」の 頭文字をとって「房総」と呼ばれる
  • 房総半島:千葉県南部に位置し、かつての上総・下総・安房の3つの国の頭文字から「房総」と呼ばれる
  • 三浦半島:神奈川県南部に位置し、マグロ漁の基地として知られる三崎港がある

関東地方の基本情報

人口

関東地方と日本の人口比較 関東地方 約4,300万人 (約33%) その他の地域 約8,700万人 (約67%) 関東地方:約4,300万人(日本の約1/3) その他の地域:約8,700万人

関東地方の人口は約4,300万人で、日本の総人口の約1/3が集中しています。

特に東京都心部や横浜市などの大都市に人口が密集しています。

人口集中に伴う問題

気温高い 気温低い 気温低い ヒートアイランド現象 都市部が周辺地域より気温が高くなる現象 原因:アスファルト舗装、建物の密集、緑地の減少など

人口集中に伴う主な問題:

  • ヒートアイランド現象:都市部の気温が周辺地域より高くなる現象
  • 交通機関の混雑:特に通勤時の電車内の混雑や道路の渋滞
  • 騒音・振動問題:人口密度の高い地域での生活環境の悪化
  • ゴミ問題:廃棄物処理の課題

人口動態の変化

  • ドーナツ化現象:都市部の人口が減少し、周辺地域の人口が増加する現象
  • 都心回帰現象:近年、都市中心部の地価低下に伴い、都心への人口回帰が見られる

関東地方の気候

太平洋 関東山地 季節風(カラッ風) 夏季高温 (熊谷市など) 太平洋側気候 夏季高温地域 季節風(カラッ風)
  • 太平洋側気候:全体的に太平洋側気候の影響を受け、冬季の降水量が比較的多い
  • 内陸部の気候:関東山地からのカラッ風(乾燥した季節風)の影響を強く受ける
  • 熊谷市などでは夏季に猛暑:埼玉県熊谷市や群馬県館林市などは夏季の気温が非常に高くなりやすい
  • 高冷地農業:群馬県の浅間山周辺などでは、夏でも気温が比較的低く、高冷地農業が行われている

関東地方の都道府県別特徴

東京都

人口:約1,400万人

  • 日本の政治・経済の中心地
  • 千代田区周辺には官庁街や企業本社が集中
  • 世界遺産:小笠原諸島(自然遺産)
  • 世界文化遺産:国立西洋美術館本館(ル・コルビュジエの建築作品)
  • 第一次産業はあまり盛んではない

神奈川県

人口:全国2位

  • 政令指定都市が3つ(横浜市、川崎市、相模原市)
  • 工業や商業が発達
  • 三崎港はマグロ漁の基地として有名
  • 第一次産業はあまり盛んではない

千葉県

農業が盛ん

  • 農業産出額が全国でも上位
  • 米作り:水稲地帯で盛ん(早場米)
  • 野菜生産:下総台地を中心に近郊農業が発達
  • 水産業も盛ん:銚子港などが主要漁港

茨城県

霞ヶ浦(日本第2位の湖)

  • 農業産出額が高い
  • 米作りが盛ん
  • レンコン、ピーマンなどの野菜生産も多い

埼玉県

武蔵野台地

  • 近郊農業が盛ん
  • 夏季は熊谷市など内陸部で気温が高くなりやすい

群馬県

高冷地農業

  • 浅間山麓では高冷地農業(夏季冷涼な気候を活用)
  • キャベツ生産が盛ん
  • 世界遺産:富岡製糸場と絹産業遺産群
  • 下仁田ねぎで有名
  • 北関東に位置し、カラッ風の影響を受ける

栃木県

農業が盛ん

  • いちごの生産量が多い
  • かんぴょうの生産で知られる
  • 世界遺産:日光の社寺(日光東照宮など)
  • 渡良瀬川流域:かつての足尾銅山鉱毒問題があった地域
  • 県北部には那須高原がある

関東地方の農業比較

関東地方の県別農業生産の特徴 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 神奈川県 レンコン メロン いちご かんぴょう キャベツ(高冷地農業) 近郊野菜 米(早場米) 野菜(近郊農業) 水産業(銚子港) 野菜 漁業(三崎港) 米作 野菜生産 特産作物 水産業

近郊農業とは、大都市近郊で行われる農業のことで、以下の特徴があります:

  • 大量消費地に近いため、安定した需要がある
  • 消費地までの距離が短く、新鮮な農産物を提供できる
  • 都市部の需要に対応した野菜類の生産が中心

高冷地農業(抑制栽培)とは、標高の高い冷涼な地域で行われる農業で:

  • 夏でも気温が比較的低い気候を利用
  • 野菜本来の旬ではない時期にも栽培が可能
  • キャベツなどの葉物野菜の生産が中心
  • 高原キャベツなど、ブランド野菜として販売される

関東地方の世界遺産

自然遺産

小笠原諸島(東京都)

  • 多くの固有種が生息する貴重な生態系
  • 2011年に世界自然遺産に登録

文化遺産

富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)

  • 明治時代以降の絹産業の発展に貢献
  • 日本の近代産業化を象徴する施設

日光の社寺(栃木県)

  • 日光東照宮を含む歴史的建造物群
  • 江戸時代の建築様式を今に伝える

国立西洋美術館本館(東京都)

  • 建築家ル・コルビュジエの作品
  • 世界各国のル・コルビュジエ建築作品群として登録