2025年4月27日

宛先: 矢作 芳人 様

DWCデイに検体所で起きた事象に関する回答
フォーエバーヤング号の検体採取に関する調査結果と今後の取り組み
はじめに

矢作 芳人 様

2025年4月5日のドバイワールドカップデイに検体所で起きた事象への貴殿の懸念を共有いただきありがとうございます。Emirates Racing Authority (ERA)はこのようなフィードバックを真摯に受け止め、今回の件について監視カメラ(メイダン競馬場・検体馬房2番)の映像を詳細に調査いたしました。

フォーエバーヤング号が検体所の暗室に約40分入れられていたという貴殿の主張を受け、有給裁決委員マナヴ・ヴァヤ氏および私が実施した調査の結果をご報告いたします。

検証されたタイムライン
当初の申し立て
40分
滞在時間
実際の検証結果
26分
滞在時間
20:04

フォーエバーヤング号がDRCグルームに誘導され検体所に入室。ERAの検体スタッフも引率。

20:05

厩務員(渋田氏)が馬をコントロール。フォーエバーヤング号は検体馬房内を落ち着いて歩く。

20:09

厩舎スタッフ(荒木氏)がドアを開けて厩務員(渋田氏)と話す。

20:12

厩務員(渋田氏)が明らかに苛立っている。ERA検体スタッフは冷静な態度で状況を緩和させようとしている。

20:16

厩舎スタッフ(荒木氏)が再度ドアを開けて厩務員(渋田氏)と話す。

20:21

厩舎スタッフ(荒木氏)が三度目にドアを開けて厩務員(渋田氏)と話す。

20:26

しばらく議論が続く。厩務員(渋田氏)は馬の無口を外すと、フォーエバーヤング号は明らかにリラックスした様子。

20:30

フォーエバーヤング号は厩務員の誘導によって検体所から退室。

重要な事実
  • 検体馬房内はエアコン完備明るく照明がされていました
  • 馬は全体で26分間滞在していました(訴えられていた40分ではありません)
  • フォーエバーヤング号はレースの1時間前には開放されており、回復および準備をするには十分な時間がありました
ERAの検体採取プロトコル
レース前尿検査の実施状況

レース前尿検査はERAが通常実施しているアンチドーピング対策の一環です。

2024-25シーズン 実績 64開催日 429頭からレース前の尿検体を採取
DWCデイの検体採取
ドバイワールドカップデイの採取対象 9頭 選定 7頭 採取成功 別の1頭は35分間滞在し、出走レースで優勝
検体採取の標準プロトコル

ERAのプロトコルでは以下のように定められています:

  • レース前検体が採れなかった馬は、レース後の検体採取が義務化されています
  • ドバイワールドカップを含む全ての重賞競走では、最低でも上位3着までの入着馬からレース後検体を採取します
  • 1時間経ってもレース後の尿検体が採れない場合、代わりに血液を採取します
  • フォーエバーヤング号はレース後の尿は採取できたため、我々の要件を満たしています
認識された課題と今後の改善点
コミュニケーションの課題

貴殿が指摘する「コミュニケーション」の問題は我々も認識します。不運にも、通訳をできるスタッフが当日の現場に立ち会えていなかったことによって混乱を招いてしまったかもしれません。これに関しては我々としても改善が必要とされる箇所であり、それを改めて指摘いただいたことに感謝しています。

運営改善へのコミットメント

貴殿の指摘を受けて、我々自身の競馬運営について前向きに見直しています。レース前検体自体は引き続き我々のアンチドーピング戦略の中核であり続けますが、以下を含む見直しを実施しています:

改善検討事項 主要開催日は待機馬房への 到着時間を早める レース前検体採取時の 最大待機時間を明記 JRA代表者や海外からの 遠征関係者への事前説明 (書面または口頭)
結論と連絡事項

今回の検体馬房での監視カメラの映像を確認されたい場合、メールアドレスを教えていただければ共有いたします。

私がUAEで規制獣医師として従事してからずっと、日本の調教師および厩舎の皆様に対しては最大限の敬意を持っています。日本馬の競馬に向かうまでの準備、馬の取り扱い方はプロ意識が高く、その姿勢には感心しています。

直近で貴殿が経験してしまった事態は、我々が目指している高い基準の手順とは相反してしまったことは大変残念であります。上記に述べた時間軸での事象は、貴殿からいただいた内容とは少し異なる点はあったにせよ、貴殿の所見は大変貴重なものですし、我々としましてもこれを機に、全ての遠征関係者のためにコミュニケーションの質とプロトコルを高めていくよう尽力していく次第です。