戦略と技術への完全ガイド
クローズドガードはBJJにおいて最も基本的かつ重要なガードポジションの一つです。下の実践者が相手の胴体に両脚を回し、足首を組んでロックする体勢を指します。
コントロールの維持 - 相手の動きを制限し、安全なポジションを確保
スイープのセットアップ - 相手をひっくり返して上になること
サブミッションのセットアップ - 関節技や絞め技への展開
クローズドガードは初心者が最初に学ぶガードとして認識されていますが、その重要性は初心者レベルに留まらず、白帯から黒帯に至るまで有効なポジションであり続けます。
⚠️ 重要:単にガードを閉じているだけでは不十分です。IBJJFのルールでは、積極的に攻撃を仕掛けないと膠着(Stalling)とみなされ、ペナルティを受けるリスクがあります。
クローズドガードの核心は、相手の腰と体幹を直接コントロールすることにあります。これにより:
クローズドガードからの攻撃の第一歩は「相手の姿勢(ポスチャー)を崩す」ことです。道衣の襟や袖、頭部へのグリップを活用し、相手を前方または下方へ引きつけます。
次に重要なのが「角度(アングル)を作ること」です。腰をずらし、中心線から外れ、通常は45度程度の角度を作ることで、相手の腕や首を攻撃しやすくします。
密着:自身の体(特に脚)と相手の腰や胴体との間の隙間を最小限に保つこと
ヒップエンゲージメント:常に腰をマットから少し浮かせ、かかとで相手を引きつけるようにする
これらの要素「姿勢の崩し」「密着」「ヒップエンゲージメント」「角度作り」は相互に深く関連しています。
セットアップ:
三角絞めは、両脚と相手の片腕を使って首を絞める強力な技です。多様なセットアップが存在します。
セットアップのポイント:
セットアップのタイミング:
相手が手をマットについた時
ヒップバンプスイープを相手が防御した場合
グリップブレイクから
オモプラッタは、脚を使って相手の肩関節を極める技で、三角絞めと似たセットアップから移行することが多いです。
キーポイント:良好な股関節の動きが要求され、相手の姿勢コントロールが極めて重要です。サブミッションが失敗しても、スイープやバックテイクに繋がる可能性が高い技です。
サブミッション選択の原則:
単一の技を強引に狙うのではなく、相手の姿勢や防御反応によって生まれる機会を的確に捉えること。
クローズドガードからのスイープは、不利な下ポジションから有利な上ポジションへと移行するための重要な手段です。
効果的なスイープの原則:
相手の姿勢や動きに大きく依存します。
クローズドガードは強力ですが、状況によってはガードを開き、他のポジションへ移行することが戦略的に有効な場合があります。
基本原則:ガードを開くと、双方の機動力が増します。パスを防ぐために、素早く新しいフレーム(支え)やグリップを確立することが不可欠です。
主な移行先ガード:
スペースを作り、距離を取る、あるいは立ち上がるための基本的な動作です。攻撃的に用いれば、スイープやテイクダウンのセットアップにもなります。
クローズドガードの効果を最大限に引き出すには、相手の姿勢、防御、攻撃に対して柔軟に適応する能力が求められます。
相手が立ち上がると、重力がパスの武器となり、機動力が増します。相手にとってはスイープのリスクが増える一方、サブミッションのリスクは減少する傾向にあります。
具体的なカウンター:
グリップ争い:常にグリップの攻防が発生します。相手が姿勢コントロールやパスのために使うグリップを解除し、自分が攻撃を仕掛けるための有利なグリップを確立します。
フレームの使用:姿勢を崩されたり、ガードが開かれたりした場合、腕(前腕)や脚(脛、膝)を使ってスペースを作り、相手が胸を合わせてプレッシャーをかけてくるのを防ぎます。
クローズドガードにおける成功は、固定された手順ではなく、相手の微細な変化(姿勢の変動、グリップの試み、体重配分)を常に読み取り、適切な対応を瞬時に行う能力にかかっています。
高レベルになるほど、単発の攻撃は防御されやすくなります。攻撃を連携させる(チェインする)ことで、相手に防御反応を強要し、次の技への隙を作り出すことができます。
コアテクニックの習得
高確率な連携の特定
トランジションの反復練習
シンプルな連携から開始
自分の体/スタイルへの適応
高度なクローズドガードの本質は、単に多くの技を知っていることではなく、予測可能な相手の反応に基づいて技がどのように相互接続するかを理解することにあります。
クローズドガードは、その原則が理解され、動的に応用されるならば、コントロールと攻撃のための強力なプラットフォームとして、BJJの礎であり続けるポジションです。
クローズドガードの真髄は、個々の技を知ることだけにあるのではありません。むしろ、それらの技がどのように相互に連携し、相手の反応にどう適応し、流れるようなアタックチェーンを構築できるかという点にあります。熟練とは、静的なポジションの保持ではなく、動的な相互作用の中で生まれるのです。